スポーツ障害

前十字靭帯の手術後、リハビリが終わったら試合に戻れるの|学生選手の保護者の方へ

☆川西能勢口駅徒歩2分のカイロプラクティック整体院です。
いつも多くの患者様のご来院・ご紹介を頂き本当にありがとうございます。
ライフ・カイロプラクティックラボの森下です。

これまでの記事では、学生選手の前十字靭帯損傷や半月板損傷について、手術とリハビリの考え方をお伝えしました。

今回は、前十字靭帯の手術後に気になる「スポーツへの復帰」についてのお話です。

「リハビリの通院が終わったので、試合に出てもよいのでしょうか」
「普段は痛くないのに、サッカーをするのは怖いと言っています」
「どこまで練習に参加してよいのか、よくわかりません」

長い通院を頑張ってきたお子様には、早く部活動を楽しんでほしいと思いますよね。

ただ、「リハビリの通院が終わること」と「試合への復帰が許可されること」は、必ずしも同じではありません。

通院終了時には、今できる活動と、次の段階へ進むために必要な確認を、主治医やリハビリ担当者に聞いておくことが大切です。

【普通に歩くことと、試合で動くことには違いがあります】

前十字靭帯は、膝の中で骨同士をつなぎ、膝のずれやねじれを抑える組織です。「ACL」という略称でも呼ばれます。

手術後、普段どおりに歩けるようになると、ご家族からも「かなり良くなった」と見えるかもしれません。

一方、サッカーの試合では、全力で走った後に急停止したり、相手の動きに合わせて方向を変えたりします。日常生活よりも大きな負担がかかり、とっさの動きも必要です。

復帰に向けては、痛みや腫れだけでなく、膝の曲げ伸ばし、筋力、バランス、脚をコントロールする力などを確認します。痛みがないことだけで、試合に戻れるとは判断できません。参考:米国整形外科学会・ACL術後のリハビリと復帰

【私が論文や資料を調べる中で、保護者の方にお伝えしたいこと】

私がACL手術後の復帰について論文や医療機関の資料を調べた中では、復帰の目安や確認項目は、すべて同じというわけではありませんでした。

例えば、2026年3月号に掲載された論文では、米国の大学関連医療機関が公開するリハビリの手順書を調べ、スポーツへ戻るための基準や、筋力・片脚ジャンプの検査の目安に違いがあることが紹介されています。

ただし、公開資料に書かれている内容だけで、実際に病院でどのような確認をしているかまではわかりません。また、この論文だけで「手術から何か月たてば安全」と決められるものでもありません。

こうした資料を読んで、私が保護者の方にお伝えしたいのは、「わが子は、何を確認してから次の練習へ進むのか」を、担当の医師やリハビリ担当者に聞いて頂きたいということです。

「同じ手術を受けた友達が復帰したから」「ネットに目安の月数が書いてあったから」と判断せず、お子様自身の回復状況を確認していきましょう。参考:Calkinsら・ACL術後リハビリ手順書に関する論文、2026年

【「運動してよい」は、どこまでの許可か確認しましょう】

「運動を再開してよい」と説明されたときは、どの活動を指しているのかを確認してください。

例えば、次の活動では膝にかかる負担が異なります。

  • 軽いジョギング
  • ダッシュや方向転換
  • 相手と接触しない練習
  • 接触を含むチーム練習
  • 試合への出場

これは、ご家庭で順番に試すための一覧ではありません。主治医やリハビリ担当者と、参加範囲を確認するための例です。

「走ってよいと言われたから、試合も大丈夫だろう」と広く受け取らず、許可された内容を学校やチームの指導者にも共有しておきましょう。

【半月板も一緒に手術した場合は、進め方が変わることがあります】

前回の記事でお伝えしたように、ACL損傷では半月板も一緒に傷んでいる場合があります。

半月板を縫い合わせる手術などを同時に受けていると、体重のかけ方や膝を曲げる範囲に、個別の制限が設けられることがあります。

同じACLの手術を受けた友達と、回復の進み方が違っていても、それだけで遅れているとは言えません。自分の手術内容に合った指示を優先してください。参考:米国整形外科学会・ACL術後の対応

【「またけがをしそうで怖い」という気持ちも大切にしてください】

「走ることはできるけれど、切り返すのが怖い」
「相手が近づくと、膝をかばってしまう」
「けがをしたときのことを思い出すと、体に力が入る」

こうした気持ちを、お子様が一人で抱えているかもしれません。

私が確認した論文でも、復帰に向けては身体の状態とともに、本人の気持ちの準備について確認することの大切さが述べられています。参考:Calkinsら、2026年

「もう治ったんだから大丈夫」「気持ちで負けている」と励ますよりも、「どんな場面で怖くなる?」と聞いてみてください。

恐怖心には、けがをした経験だけでなく、痛みや膝の不安定さが関係している場合もあります。心だけの問題と決めつけず、主治医やリハビリ担当者にも伝えることが大切です。

【当院の「こころのケア」では、けがへの恐怖心もご相談頂けます】

当院では、けがに対する恐怖心や、トラウマのように心に残っているつらい体験、復帰を前にした不安についても、「こころのケア」のセッションでご相談をお受けしています。

「また同じけがをするのではないか」
「チームに迷惑をかけたという気持ちが消えない」
「早く戻らなければと焦ってしまう」

こうした気持ちに耳を傾け、本人のペースを大切にしながら、心の負担を軽くすることを目指します。

当院でいう「感情解放」は、抱えている怖さやつらさを和らげることを目指すケアです。記憶を消したり、恐怖心やトラウマが必ずなくなったりすることをお約束するものではありません。

学生のお子様の場合も、ご本人の「相談してみたい」という気持ちを尊重し、保護者の方と相談しながら進めます。

心のケアは、膝のリハビリや医師による復帰判断と併せて考えるものです。 気持ちが楽になっても、それだけで試合に戻ってよいとは判断できません。また、先ほどご紹介した論文は、当院のセッションの効果を検証したものではありません。

眠れない、けがの場面が繰り返し浮かぶ、学校生活にも支障が出るほどつらい場合は、主治医や心の専門家にも相談してください。

セッションの考え方や内容については、こちらのホームページでご案内しています。

ライフ・カイロプラクティックラボ「こころのケア」のご案内

【通院が終わる前に、聞いておきたいこと】

最後の通院時には、次の内容を確認しておくと、その後の迷いを減らせます。

  • 今、参加してよい練習は何ですか
  • 試合への復帰は、すでに許可されていますか
  • 筋力や動きについて、まだ残っている課題はありますか
  • 今後、続ける必要があるリハビリは何ですか
  • 次の復帰判断は、誰が、いつ行いますか
  • 痛みや不安が出た場合は、どこへ連絡すればよいですか

通院がすでに終わっていても、復帰の許可や参加範囲がわからなければ、以前の担当医療機関へ確認しましょう。

【腫れや膝崩れが出たら、練習を増やさず再相談を】

練習再開後に、新しく膝をひねった、腫れが出た、膝がガクッと崩れる、引っ掛かって伸びにくいといった変化があれば、無理に続けず主治医に相談してください。

「久しぶりに動いたから」と自己判断したり、強く押す・ひねるなどして確かめたりすることは避けましょう。参考:小児・思春期の急性膝傷害ガイドライン

また、施術などで一時的に動きやすくなっても、それだけで手術した膝の回復や、競技復帰の準備が確認できたことにはなりません。

お子様にとって、大会や部活動への復帰は大きな目標です。保護者の方は、その気持ちを大切にしながら、「今できること」と「次に確認すること」を一緒に整理してあげてください。

復帰の時期を周りと比べるよりも、お子様自身の膝の状態と気持ちを、医療者や指導者と共有していくことが大切です。

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